『全体性と内蔵秩序(Wholeness and the Implicate Order)』by デヴィッド・ボーム 01

全体性と内蔵秩序

全体性と内蔵秩序

手元にあるのは、1986年発行のものだから、およそ20年前に買ったものだと思う。フェローシップに入ったのが1992年だから、自由の森に居た頃で「マグネティックセンター」*1が非常に活性化していた頃。


あの頃にも、クリシュナムルティーを含めてボームのこの本も読んだ筈なのだけど、20年の歳月を経た今、より深く理解できるようになっているコトが改めてわかった。


今日は、「はじめに」を熟読しながら、各章の概要を彼自身による説明を通して見ていこう。「はじめに」には各章の解説以外の、より根本的なボームの問題意識にも触れられているが、それは次回まとめることとする。

第1章 断片化と全体性

  • 「科学自身が非断片的な新たな世界観を必要としていることが示される。」

第2章 流態のこころみ―言語と思考についての一つの実験として

  • 「思考の断片が引き起こされるさいの言語の役割を検討する。」
  • 「近代言語の<<主語-動詞-目的語>>構造」に着目し、そこから「断片化(分離)」が生じる様子を見る。
  • 「名詞ではなく動詞に基本的役割を与えるあらたな言語形式の実験が可能かどうかを調べる。」
  • 「われわれが提案するのはむしろすでに存在する言語の新たな仕様様式なのである。それを流態(レオモード)とよぶ。」

第3章 実在と知識は過程である

  • 「意識と実在が互いに断片化されぬ世界観への道が拓かれる。」
  • 「われわれの一般的世界観はそれ自体が思考の運動全体であること、そしてそこから流れ出る諸作用の総体はそれら自体としても全体との関連においてあまねく調和しておらねばならず、そのいみで世界観は自らを発展させる力を持たねばならぬこと」

第4章 量子論における隠れた変数理論

  • 「続く三つの章はどちらかと言えば専門的、数学的である。」
  • 「「量子力学的実在」に一貫した概念を与える試みが直面する真に深刻な問題が何かを呈示し」、
  • 「ついでこれらの問題を隠れた変数によって解決しようとする呼び作業がいかなるものかを示唆する。」

第5章 量子論は物理学における新たな秩序を示唆する―物理学史に登場してきたさまざまな新しい秩序

  • 「われわれの持っている秩序という基本概念についての検討」
  • 「世界を分離・独立する諸部分(粒子あるいは場要素)に分析するとき、このデカルト的秩序は確かに適切である。」
  • 「秩序の本性をより深く一般的に検討するとき、われわれはデカルト的秩序が相対論でも量子論でも、深刻な矛盾と混乱に逢着しつつあることを見出す。」
  • 「だがこの二つの理論が持つ秩序概念をさらに検討すると、両者はそこで根本的に異なるのである。」
  • 「これらの理論はそれぞれ、ほんらい静的で断片的な存在様式の概念に束縛されているのである(相対論では信号で結び付けられる分離した事象という概念に、量子力学は個々に明確に規定される量子状態という概念にそれぞれ縛られている)。」
  • 「ここに至って人びとは新たな理論が必要とされていることを悟る。その新理論はこのような束縛を解消する。」

第6章 量子論は物理学における新たな秩序を示唆する―物理法則における内蔵秩序と顕前秩序

  • 「分断ない宇宙に相応しい新たな秩序概念を具体的に展開する作業に着手する。これが内蔵的あるいは包み込まれた秩序である。」
  • 「この包み込まれた秩序の中では、時間・空間はもはや異なる要素間の依存関係を決定する支配的要因ではない。」
  • 「われわれの通常の時空概念が、そしてまた分離して存在する物質粒子という概念がこの深層秩序からの派生形態として抽象される」
  • 「じつはこれらの通常概念は、顕前的あるいは抜き出された秩序と呼ばれるものの中に現れる。しかしこの秩序はあらゆる内蔵秩序の総体のうちに含まれる、特殊かつ際立った形態なのである。」

第7章 包み込み・披き出す宇宙および意識

  • 「内蔵秩序を(専門的なかたちではないが)さらに発展させ、それと意識との関係を述べる。」
  • 「それらの作業から、われわれの時代に相応しい宇宙観と実在の本性についての一般概念を生み出すという緊急の課題に応えるべき一つの道筋が示される。」
  • 本書自体とその「包み込み・披き出す宇宙および意識」の関係について。

pukiwiki の方にも「まとめページ」を創っておいた。
『全体性と内蔵秩序(Wholeness and the Implicate Order)』by デヴィッド・ボーム

*1:第四の道の概念で、「スクールを探すために存在する人工的に発達する器官」