ここに一つの祈りがある

ここに一つの祈りがある。
胸の内で焼き尽くされ、渇きから天上を仰ぐ、そんな祈り。


生と死がまるで一つのことかのように、
日常の諸々が、諸行無常に、はかなく過ぎ去っていったとしても、
永遠に、静かに燃え続ける炎。


私が何処から来たのか、
そして何処へ行くのか、
言葉にならなくとも知っている、
呼吸と共にみぞおちに染み渡る、甘い痛み。


全方向に伸びた注意が、
同質の甘い痛みを磁石のように引き寄せ、
きしむ全身を、唯一つで在る場(フィールド)に、
溶け込ませていく、そんな祈り。


クリスタルのように鮮明な意識に、
全歴史の想いが駆け巡るかの如く、
唯ありのままの生起に遭遇しているのは一体誰?


無念を受け入れ、
十字架を背負い、
宿命を甘受する、
そんな彼が無言のまま祈っていた、あの祈り。


神秘の全体性の中で、
その一端を担うことを、
あえてするのは、この祈りから。


目をつぶると聞こえてくる天上の音楽。
ここに一つの祈りがある。