ユング心理学:アニマ・アニムス元型(アーキタイプ)という観点
創造性と破壊性を併せ持つ内的な異性像としての“アニマ・アニムス”:元型イメージと象徴内容 カウンセリングルーム:Es Discovery/ウェブリブログ
ユングは恋愛感情や性的欲動も、アニマ・アニムスの元型イメージの投影(projection)によって説明できると考えます。アニマやアニムスは、『意識的な人生の生き方・対社会的(対他者的)な適応的な態度』を補償して、その人に精神的な安定感や幸福感を与えてくれるだけでなく、進むべき人生の進路や選ぶべき選択肢を暗示的に教えてくれる存在でもあるのです。
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『影(シャドウ)』の元型は、『意識的態度に対する同性像のアンチテーゼ』として心にバランスのとれた全体性を回復させようとしますが、『アニマ・アニムス』の元型は、『意識的態度に対する異性像のアンチテーゼ』として自己に欠如した要素や特徴を補って心の相補性を実現しようとするのです。影(シャドウ)をイメージで体験しているときには、不快感や抵抗感、否定感情を感じますが、アニマ・アニムスをイメージで体験しているときには、幸福感や恍惚感、肯定感情を感じやすくなるという特徴があります。
影(シャドウ)にせよ、アニマ・アニムスにせよ、物理的現実ではなく心理的現実に属するものですが、多くの場合、それらの元型のイメージが持つ感情や影響力は現実世界を生きる他者に投影されます。嫌悪感を抱いているそりの合わない人物には『影(シャドウ)』が投影されやすく、異性として理想的な魅力や誘惑的な特徴を持っている人物に『アニマ・アニムス』が投影されやすくなります。
Anima and animus - Wikipedia
Archetype - Wikipedia
Child archetype - Wikipedia
Shadow (psychology) - Wikipedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Self_%28Jung%29
Individuation - Wikipedia
'The symbols of the individuation process...mark its stages like milestones', prominent among them for Jungians being '"the shadow, the Wise Old Man...and lastly the anima in man and the animus in woman"'[2]. Thus 'there is often a movement from dealing with the persona at the start...to the ego at the second stage, to the shadow as the third stage, to the anima or animus, to the self as the final stage. Some would interpose the Wise Old Man and the Wise Old Woman as spiritual archetypes coming before the final step of the Self'[3].
3・4 魔術の対象 少女と自分
プロスペローの魔術は謀反人を改心させ、娘をナポリ王の後取り息子に結びつけることに使われたが、キャロルはどうだったかといえば、彼の最も魔法を掛けたかったのは「少女」だったと思う。
キャロルにとって少女とは、まず美しいもの、品のいいもの、無垢なるものものであった。ノンセンスへ共感し、不思議なことにロジックにも反応するもので、アリスがその代表といえる。このような少女には彼はどこか聖なるもと感じていたようで、少女が朝、散歩にキャロルを誘いに来るようなことがあれば彼は大変名誉に感じた。
「テンペスト」のミランダはそろそろ性にも目覚め始め、地位など世俗的なものに興味を示し始めており、キャロルの「少女」からは離れつつある。キャロルは「少女自身のためのシェイクスピア」でミランダをどう扱おうとしたか興味深いことである。
彼が魔術を行使したのが少女であったことは彼の日記を見れば分かるが、少女と何分で友達になったという記述とか、新しい少女友達のリストを見ると、魔術師キャロルの姿を見る思いがする。
なぜ彼の魔術の第一の対象が少女であったのかといえば、このような少女達はキャロルの潜在意識の中の「アニマ」であったからだと思う。「アニマ」はC.G.Jungの概念で、男性の潜在意識の中にあって補完的役割をしている理想的な女性像を示すものであるが、Judith Bloomingdaleが1971年、Alice as Anima(Aspects of Alice に収録)の中で、アリスをキャロルのアニマとして話を展開している。私はアリスだけではなく、後の多くの少女友達もキャロルのアニマを象徴していたように思う。少女と遊ぶことは自己(の潜在意識)と遊ぶことで、だから、少女たちを膝の上に載せて話をしたかったのだし、別れる時は、握手ではなく、キスをしたかったのだと思う。
自分の編み出したゲームやお話に少女が乗ってくるかどうかは、自分の編み出した言葉・ロジックの自己検証でもあった。
少女のロジックに就いては、Judith Bloomingdaleは次のように述べている。「話を複雑にしているのは、アリスは逆に「アニムス」に憑かれているのであり、その「アニムス」とは女性の潜在意識の中で補完の役を果たしている男性のイメージである。その「アニムス」がロゴスまたは言葉に呼応しており、女性の思考に影響を与えている」
このことから言うと、キャロルはロジックを少女達の潜在意識に訴え、検証していたことになる。
(晩年、女学校で論理学を教えたのもこの延長にある)
魔術の対象としての少女を取り上げたからといって、キャロルは少女しか興味がなかったというのではない。少女偏愛者のイメージは作られた伝説であって、キャロルの人生はもっと多様で、日記や伝記は、大人の女性、少女達のお母さんをも同様に愛したことを示している。Karoline Leach のIn the Shadow of Dreamchild は彼のそんな一面を描き出している。